カミングアウトしたいけれどしないでいる理由・心理




 

セクシュアルマイノリティ全般の悩みとして存在する、カミングアウトするか問題。

自分を偽って生き続ける苦しみから逃れるために、カミングアウトしたい。

けれども失敗したとき、元いたコミュニティには二度と戻れないかもしれません。

それがたとえ家族や、長年付き合ってきた友人、幼馴染であったとしても。

 

正直カミングアウトがうまくいくかどうかに関しては、自分や周りの人の性格、タイミング次第だと考えています。

・・・なんていったらもう書くことがなくなってしまうので。笑

せっかくだから私のカミングアウト事情についてお話しできたら、と思います。

 

『結論を急ぎすぎて、カミングアウトをするべきではない』が今のところの私の答えです。

なので私自身もまだ、ほぼ誰にもカミングアウトしていません。が、いずれはカミングアウトできればと考えています。

・なぜカミングアウトしたいのか

・なぜカミングアウトしていないのか

・いつカミングアウトしようと考えているのか

 

1つ1つ、どういう意図を持っているのかを自分なりに整理してみました。

カミングアウトをすれば嘘をつかないで済むようになる

 

カミングアウトをしたい理由は、嘘をつかずに済む。これに限ります。

恋人はいないのか、気になる人はいないのか、好きなAV女優は、結婚は・・・etc

本心でないことをいうだけでも、私はかなり疲れてしまうタイプなので、それから解放されたらどんなに楽だろうな~と思う瞬間はたくさんあります。

 

こういった悩みは学生時代だけだろうと考えていましたが、むしろ社会に出てからのほうが強烈に感じることもあります。

というのも、年の離れた人との会話って何かと色恋の話になりがち。(私の身の回りだけの話なのかな?)

おそらくなんですけど、恋愛や結婚の話って、上司的には置きにいった話題だと思うんですよね。

どの年代でも共通して話せるもの。しかも趣味関係なく、誰しもが興味を持つもの。

そう考えると、色恋は雑談にもってこいなんじゃないかなと。

 

しょうがないとはいえ、話すだけ疲れるし、特別面白い話題を提供できるわけでもないし。

むしろ悪い気さえしてきてしまいます。

そんな上司との強制イベントを回避できるならば、結構楽だろうなと思いますね。

 

カミングアウトしたくない理由3つ

 

私はカミングアウトしたくない理由のほうが大きいです。

3つあって、

・コミュニティを失うリスクがあるから

・セクシュアルマイノリティだという目で見られたくないから

・カミングアウトをしていない状態の友人が好きだから

個別に解説していきます。

 

コミュニティを失いたくないから

 

カミングアウトをしないのは、元いたコミュニティを失いたくないからです。

家族や学生時代の部活、サークルなどが例ですね。

 

私は友達付き合いがうまいわけではなく、自分の居場所だと胸を張れる環境自体が少なかったのです。

よってその貴重すぎる関係を、わざわざカミングアウトすることで失いたくないなぁ、というのが本心ですかね。

 

たしかにカミングアウトがうまくいけば儲けものです。

それでもやらないのは、例えるなら宝くじで当たりを引くために全財産を突っ込むぐらい、私にとってはハイリスクな賭けだったから。

 

・ほかにたくさん居場所があり、元のコミュニティに戻れなくても不便しない

・セクシュアルマイノリティのコミュニティに所属している

以上のように、自分を受け入れてもらえる潤沢な環境をもっている場合なら、カミングアウトをすることはローリスクハイリターンになるわけです。そういう状況なら、私もカミングアウトを選択していたかもしれません。

 

セクシュアルマイノリティだという目で見られたくないから

 

セクシュアルマイノリティだという目で見られたくないから、カミングアウトしたくありません。

・・・自分に嘘をつきたくないからカミングアウトしたい、なんていってたくせに即行で自己矛盾しちゃってます。笑

 

カミングアウトすることできっと、いや絶対周囲との関係も変わってきます。

特にコミュニケーションの部分。

先ほど、『年の離れた人との会話って何かと色恋の話になりがち』と愚痴をこぼしたわけですが、こういう何気ない世間話が、やっぱり効いてくるなと実感する場面はあるわけで。

苦痛でも耐えた先に待ってる、円滑な人間関係に救われることはたくさんありました。

 

ですがセクシュアルマイノリティだとカミングアウトすると、何気ない会話も「話していいのかな?」と躊躇させることにも繋がります。

そうなると会話の総量が減って、仕事やプライベートの付き合いの、さらにその先が繋がっていかない懸念があるのです。

実際にカミングアウトしたわけじゃないので憶測の話ではあるのですが・・・

私はこれを機会の損失だと捉えています。カミングアウトしないなりのメリットもあるわけです。

 

いまの私は保守的な職場で働いているので、特にそう感じているのもあるかもしれません。

 

カミングアウトをしていない状態の友人が好きだから

 

こちらも憶測の話です。

カミングアウトをするということは、相手に自分の見方を改めるきっかけを与えることでもあります。

セクシュアルマイノリティに対してどうしても嫌悪があるなら、カミングアウトした時点で相手との関係は終わってしまうでしょう。

 

私が懸念しているのは、相手が受け入れてくれた場合です。

相手がカミングアウトされる前後で私への見方を変えるように、私もカミングアウトをした前後の相手を観察してしまいます。

そこでカミングアウトをしたあとの相手と、以前と同じように付き合えるかどうか。それもまた別の問題であると思うのです。

 

カミングアウトの前後で少なからず距離感は変わるはずです。

その距離感を心地よいと思えるか、までは確証はありません。

わざわざカミングアウトしなければ、いままでの関係でいられたのに。

そう、いまの関係が心地よいからこそ、一歩踏み出す必要はあるのか? と私は思います。

 

「いやいや、受け入れてくれただけでもありがたいでしょ!」と思うのもわかります。

そうは思えども、変わらなくてもいい関係までも変えなくてはいいのかなと。

(そもそも社会的な抑圧があってできずにいたカミングアウトを、『受け入れることはありがたい』と発想するところに上下関係ができているのでは? などという論争はいったんおいておきます)

 

まとめ:カミングアウトはデメリットがメリットを上回るときに

 

もし私がカミングアウトをするなら。

それはデメリットよりも、メリットを受けたほうが楽に生きられる見込みがたったときです。

・本心をさらけ出しても受け入れてくれるコミュニティがある

・家族から絶縁されても、生きていけるだけの生活基盤や心の準備ができている

これら2つをクリアできれば、いつしてもいいかなと思っています。

 

とはいっても、奨学金の後見人が父と親族なので、少なくとも返済が終わるまでは家族へのカミングアウトはしないつもりです。

もし自分に何かがあって返済が困難になったとき、縁を切ったと思ったヤツから負債を押し付けられるのは、親とはいえさすが可哀そうですし。

こういう理由があってカミングアウトをしていないんだよーという、その一例として見てもらえたらありがたいです。

 

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