3ヶ月残業45時間以上しても会社都合退職にならなかった私のケース

残業45時間以上だったのに会社都合退職に変える証拠が足りなくて揉めた話 失業保険




 

在職中に残業時間が45時間以上を超える月があると、ハローワークで退職理由を会社都合にしてもらえるかもしれません。

条件は後ほど解説しますが、仮にその条件に当てはまっていたとしても、証拠が足りないせいで会社都合にならないこともあります。

 

現に私は45時間以上、たっぷり残業していたのにもかかわらず、会社都合退職にできないかとハローワークに打診したら「できません」といわれてしまいました・・・。

理由を聞くと、残業を証明する書類が足りないとのこと。

すでに私は退職後だったため、書類をかき集められませんでした。まさにあとの祭り状態。

 

この記事を読んでいるあなたが、まだ退職前であったなら。

給与明細や勤怠の実績がわかるものを、必ず手元に残してから退職してください。

 

退職後の方は、こちらの記事もよければ。

ハローワークの決定を覆した体験談です。ぜひ参考にしてもらえたらと思います。

不服・異議申し立てをする前にセカンドオピニオンをあおぐべし

 

・どんなとき残業時間を理由に会社都合退職できるのか

・なぜ私はハローワークに会社都合退職と認めてもらえなかったのか

・どんな書類が必要だったのか

以上を順に解説していきます。

 

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会社都合の基準は『ある一定時間の残業が何ヶ月続いたかどうか』

 

残業時間によって会社都合退職として認めてもらえるケースは以下の3つです。情報元はハローワークより。

2. 「解雇」等により離職した者

———–中略———–

(5) 離職の直前6か月間のうちに

[1]いずれか連続する3か月で45時間、

[2]いずれか1か月で100時間、

又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。

引用:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

 

上記の条件に当てはまり、超過残業があった事実をハローワークが認めた場合に、会社都合退職として失業手当を受けられます。

具体的な例とともに[1][2][3]がどういう場合なのか、それぞれ見ていきます。

 

たとえば、4月入社で退職日が10/30のAさんがいたとします。Aさんの直近6ヶ月の残業時間を考えてみましょう。

残業時間をカウントするのは離職する直前6ヶ月までです。なので4月を省いた、5月~10月までの残業時間を見ないといけません。

 

こちらは[1]のケースで会社都合退職として認められる例です。

 4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月
残業時間(h)       85       80       43       56       48       60       20

Aさんは7月、8月、9月と3ヶ月続で45時間以上の残業をしているため、会社都合退職と認めてもらえます。

 

続いて[2]のケースで会社都合になった例。

 4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月
残業時間(h)       85       80       43     100       44       90       81

この場合はもちろん、5月から10月までの間のひと月で100時間の残業をしているため、会社都合退職として申請できます。

 

最後に[3]のケースで会社都合退職になる例です。

 4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月
残業時間(h)       85       80       43       56       44       90      81

9月、10月に2ヶ月連続で月平均80時間を超える残業をしているので、会社都合退職にできます。

Aさんは45時間をこえる残業を、6ヶ月の間に4回もしています。

なので[1]のケースでも会社都合退職にできそうですが「3ヶ月連続」という条件から外れるため、会社都合退職にはならず自己都合退職として扱われます。

もし9月か10月の残業時間のどちらかが80時間を切っていた場合、会社都合退職できないのです。

残業しまくっているのに、ちょっとイジワルな気もしないでもないですね・・・。

 

「自分はこれらのケースに当てはまるから大丈夫!」と慢心するなかれ。

これらのケースに当てはまっていても、私は会社都合退職にならなかったからです。

ではどんな例外があるのか。それを見ていきます。

 

2月の勤務時間の計算は特殊?会社都合退職が認められないケース

 

まず私の残業時間を見てみましょう。どん。

 12月  1月  2月  3月  4月  5月
残業時間(h)       51.5       62       60       61       59.5       4

こちらは給与明細上の残業時間です。

どう見ても、3ヶ月連続で45時間以上の残業をしています。が、私は会社都合退職を認めてもらえませんでした。

 

原因は自分の残業時間の捉え方と、ハローワーク側の残業時間の捉え方の違いにありました。

捉え方の違い

・自分:残業時間=給与明細に書かれている残業時間

・ハローワーク:残業時間=1ヶ月で173時間を超えた労働時間

 

どっから173時間が出てきたのか? などは順を追って説明します。

 

私は1月、2月、3月に45時間以上残業していたので、この3ヶ月間の給与明細をハローワークへ提出しました。

しかしハローワーク側から伝えられたのは、2月といった出勤日数が20日を下回る月だと表示上の残業時間より少なくカウントされるとのこと。

だから『2月は45時間以上の残業が認められないので自己都合退職』だったのです。

 

なぜ残業時間が少なくカウントされるのでしょうか。

そもそもハローワーク側では、1ヶ月で173時間を超えた時間を残業時間にカウントする計算をしていました。

 

この173時間とは『1年単位の変形労働時間制』という勤務条件で働いたときの、1ヶ月の労働時間の限度のことを指します。

173時間の計算方法・・・365日/7日*40時間/12≒173時間
つまり1年間を52週と見立てて、週の労働時間を40時間で計算したときの月平均労働時間のこと。
参考資料

↓『1年単位の変形労働時間制』の条項です。
電子政府の総合窓口e-Gov 労働基準法 第三十二条の四

 

具体的に整理しますね。

2019年の2月は、平日の出勤日数が19日。勤務時間は19日*8時間=152時間です。

この考え方は私たちになじみのある『1日8時間、週40時間以上働いたら残業になる』固定時間制の考え方ですよね。

始業時間と終業時間、休憩時間が就業規則に書かれていて、それに則って働く制度です。

2019年2月の私の労働時間は152時間+60時間=212時間であるため、残業時間は152時間を超過して働いた60時間になります。

 

では『1年単位の変形労働時間制』において、2月の私の残業時間はどうなるでしょうか。

『1年単位の変形労働時間制』の考え方では、173時間以内の労働は残業に含むことができません。

としたとき、私の2月の残業時間は212時間-173時間=39時間になってしまうのです。

よって2月の残業時間は45時間以上ではないといえ、会社都合退職の条件に当てはまらなかった。というわけ。悲しすぎる・・・。

 

こうしたケースは平日に祝日が多いと出勤日数が20日に満たない可能性のある、1月・5月・9月・12月も同様だといいます。

 

あわせて読みたい

↓私のケースと似た事例です。理解の助けになるかと思います。
労働時間について、生じやすい誤解(前編)

労働時間について、生じやすい誤解(後編)

 

以上のように、簡単に会社都合退職にはならないケースもあるんだ、とわかっていただけたかと思います。

サービス残業を含めれば、2月は実質90時間ぐらい残業していたので、この判決はとても悔しかったです。

 

こういったトラブルを防ぐには、やはり正確な残業時間を証明できる書類が必要だと考えます。

退職前ならこっそり集められるはずなので、抜かりなく書類を揃えましょう。

 

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残業時間を証明できる給与明細・タイムカードの実績などを集めよう

 

ハローワークで離職理由を変更するには、退職前の6ヶ月間の残業時間の記録がわかるものが必要です

以下の2つを用意できれば、ハローワーク側も事実確認がしやすくておすすめ。

・残業時間が何時間か書かれている給与明細

・いつタイムカードを切っていたか、などの勤怠状況がわかるもの

 

辞める前に6ヶ月分を控えるべし。

勤怠をネット上で管理しているなら、打刻した時間がわかる画面のスクリーンショットを撮って、印刷しておきましょう。

タイムカードで管理しているなら、写真を撮るか、できればコピーしておくのが良いです。

 

会社に問い合わせたとしても、勤怠の実績がわかる証明書がない、もしくはあってももらえないこともあります。

その場合について労働相談情報センター(いわゆる労基署のような組織)に問い合わせたところ、以下の3つでも大丈夫だそうです。

・メールの送受信記録

・業務日報の提出時刻の記録

・PCの起動からシャットダウンまでの時間の記録(業務で自分だけが使うPCをもっていた場合)

これらは退勤後に業務を行っていたこと、会社にいたことの証明にできます。

 

以上のような、勤怠の実績が客観的にわかる証拠をハローワークに提出しないと、ハローワーク側も会社都合退職に認めることができません。

まだ在職しているならかき集めてください。

会社に書類を発行してもらえなさそうなら、出退勤時刻がわかるものを自分で印刷したり、スクショしたりして確保しておきましょう。

サービス残業していた時間もわかる証拠だと、残業時間に加えて計算してもらえるので会社都合退職に変えるのに有利になりますよ。

 

退職後に書類を集めるのは大変かもしれない

 

問題は退職したあとに書類をそろえるとき。

理由は退職後に元いた会社から書類をもらえるか微妙だからです。

給与明細ぐらいならもらえるかもしれません。

ですがサービス残業の実態が判明しそうな書類だと「未払いの残業代を申請するために使われるんじゃ・・・?」と勘繰られて発行をしぶられる可能性が高いです。

 

私も勤怠の実績表をもらえますか、と問い合わせたら「出来かねます。そういった書類はありません。」といわれてしまいました。

バクテリオファージ
本当にそうなのかなぁ?
ハリネズミ
会社側も一度した決定は覆せないから慎重になるよね・・・

一度認めた前例を作ってしまうと、すでに退職した人たちから文句を言われたときの始末が大変ですからね・・・悲しい。

 

どうしても元いた会社から書類をもらいたいなら、うまく交渉してみてください。

・未払いのサービス残業代をめぐって争うために書類を使うわけではないこと

・会社都合退職で処理してもらえるかどうかに生活がかかっていること

 

『会社の不利になるようには使わない理由があって、しかも緊急性がある』内容を盛り込みつつ、人事担当者と連絡をしてみるのがよいでしょう。

会社と自分、双方にメリットがあるところがポイントですね。

 

もしダメだったら泣き寝入りするしかないのか?

 

以上の話を聞いてみて「もし自分もダメだったらどうしよう」と思うかもしれません。

 

そのときは不服申し立て、という制度を使うことができます。

ざっくりいうとこの制度は、ハローワークの決定を上の組織に再度判断してもらう制度です。

私たち失業保険の受給者が利用できます。

 

実際に私はこの不服申し立て制度を使って、会社都合退職にしてもらうことができました!

こちらが不服申し立てをした経緯をまとめた記事です。

書類の申請をとおす人

不服・異議申し立てをする前にセカンドオピニオンをあおぐべし

ぜひ参考にしてみてください。

 

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まとめ:揃えられる書類は万全に整えてからハロワへ行こう

 

まとめ

・自分が会社都合退職できそうかわかったら、必要な書類をあつめよう
→特に勤怠情報がわかるものを。わかるならなんでもよい

・退職後に揃えようとすると難しいので、在職中にこっそりあつめよう
→給与明細、タイムカードの実績ののった勤怠情報、メールの送受信履歴など

 

正直、私のようなケースはレアだと思います。

その後、無事に会社都合退職として認められたことも含めて。

前もってハローワークの決断に抗える書類を集められていれば、こんなややこしくはならなかったなぁ、と思います。

 

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実は残業時間で会社都合退職できないかの打診をするまえに、病気を理由に退職理由を変更できないか? で手続きをしていました。

結局ダメだったので本記事のような手続きをしたのですが・・・。よければこちらもどうぞ。

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