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8日目
人は減る一方
本当に人が来ない。
毎日、前の営業日と比べて「全然お客様が来ない」と思うぐらい、お客様が減り続けてる。
店内での飲食が減った分、ウーバーイーツでの売り上げが増えそうなものだが、注文数はいつも通り。
うちの店でこの調子じゃ、人通りを外したところにあるお店は大変だろうな。
暇だからこそ、みんなから穏やかに丁寧に教わったり、質問したりできるけど…
確かに自分は、運がいいときに仕事を始められた。
飲食店で働くのにちょっとずつステップアップしていけるお店は、そうそうないだろうと思う。
自分がどうしようと、お客様はいらっしゃってくれるし、来てくれた以上は力量関係なしに捌き切らないといけないため。
実際にいまは、自分のレベルにあわせて、仕事を徐々に増やしてもらえてる。
とはいっても、お店が続いてくれないと困ってしまう。
自分から何か、売り上げに貢献できる行動ができないか考えないと。
その力がまだ身についていないのが歯がゆくてたまらない。
ググれない外国人
最近、日本語でわからないことをよく尋ねられる。
たとえばカード会社からのDM、電力会社からのハガキ、など。
特に公共料金がらみの資料はよく見てみると、本当に漢字だらけでまっくろに見える。
なんか大きい数字が書いてあるのはわかるけど、漢字が難しすぎて何もわからないとなると、結構な恐怖だと思う。
ほかには使ってもないのにクレジットカードが使えなくなっちゃった、という相談。
何をしたら解決できるか、次のアクションが打てないのだ。
そのなかで、彼らがググれないことに気付く。
そう。話ができても、読み書きができなければ調べ物ができない。
それに日本で生活していると、日本人よりも同じ外国人と付き合うことが多いだろうから、困ったときに気軽に頼れる人がいないのだと思う。
いま自分が当たり前にやっていることが、できない人がいる。
と思うと、自分にできる最大限のサポートをしてあげたい。
9日目
簡単な日本語を使う意識
コミュニケーションがうまくいかないとき、どうやら熟語を使いすぎていると気付いてきた。
ほかにも簡単な表現を心がけると、うまく伝わっている手ごたえがある。
たとえば『冷ます』よりも、『冷たくする』とか。
というのもドレッシングの量が少ないことを、彼らは『小さい』と表現していたことに気付いたから。
正しく伝えるよりも、ニュアンスで伝えるほうがかえって正しく伝わることもある。
それからはややこしい敬語や専門用語などを、子どもに伝えるようにじゃないけれど、ひらがなが多くなる文章になるよう噛み砕いて伝えるようにしている。
自分がヒンディー語を話せれば、一番手っ取り早いのだけれど・・・。
勉強あるのみかな。
口癖を真似される
ついに口癖を真似されてしまう。
シェフたちもよく聞いているものだ。
恥ずかしい。
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10日目
帰国できるか問題
以前、帰国できるかどうかわからなくて嘆いていたシェフの話をしたと思う。
コロナの緊急事態宣言を受けて、自分の行動にどれだけ影響があるのかわからず、何度も質問を受けた。
ひとまずロックダウンの心配はないとわかり、安心していた。
彼らは日本語でコミュニケーションはできる。
でも政府の発表するような熟語だらけの説明だと、すぐに理解が遅れていってしまう。
一緒に政府の会見映像を見ながら、どういうことなのか説明していった。
・・・本当は帰国してほしくないな、と思うし、寂しい。
とはいっても短い間だったとはいえ、お世話になったぶん以上に力になりたいし、恩返しがしたい。
無事に帰国できて、家族の元でいま以上に楽しく暮らせるなら。
それは私にとっても嬉しいことだ。
お客様、0人
とうとうディナーのお客様が0人になってしまった。
2時間も早く仕事を切り上げる。
店長からもシフトを減らさざるを得ない、と伝えられた。
しょうがないことだし、逆にこれまで新人バイトの私にたくさんシフトを入れてもらえて感謝でいっぱいだ。
とはいっても、お金がたりないのは切実な問題なわけで。
雇用保険に入っているので、政府からの助成金をもらえるかもしれないとは聞かされているが、いつどれぐらいもらえるのかがわからない。
不安定なものには、さすがにすがれない。
単発バイトを入れようにも、そもそもバイト数がかなり絞られていて、かなり競争率が高くなっているようだ。
どう生き抜こうか。困った。