作りかただけでなく短歌をもっと好きになれる本『短歌をつくろう』

短歌




 

短歌の本にも、様々な入門書がありますよね

今回はそのなかの1つである、栗木京子さん著である『短歌をつくろう』という一冊をご紹介します

 

 

名の通り、短歌をつくれるようになるよう簡単なところからステップアップしていける本です

まずは五・七・五・七・七のリズムに慣れるところから始まり、先入観に捉われない歌い方、比喩の使い方、言葉の遊ばせ方など、様々なことを学べます

 

表現に優れた短歌を参考に、「普通だったら下の句にこういう言葉が来るはずだけど、この短歌はこういった意外性があるからよい」などといった解説が随所にちりばめられています

また表現が惜しい短歌を参考にするときは、「上の句の表現は心情を言いすぎていてくどいので、思い切ってバッサリ捨てて情景を取り入れよう」などと、添削のポイントも学ぶことができます

 

そのため単に作り方を学べるだけでなく、短歌のどういう点が面白いのかなどの視点も身に付けられます

それだけ丁寧な解説でありながらも、優しい口語体の文章で伴走するかのように短歌のつくり方を教わることができます

 

そんな入門書『短歌をつくろう』のいいなと思った点4つ、気になった点1つを挙げていこうと思います

 

超初心者でも本格的な短歌を作れるようにステップアップしていける

 

作り始める前に短歌のリズムに慣れてみよう、ということから始まるほど門戸が開けています

全六章あるうちの第一章・第二章が導入編になっています

 

・既存の標語を上の句にしてしまい、下の句を自分で作ってみる

・物語の一小節を短歌にして詠んでみる

・初句または結句を決めて詠んでみる

 

上記のことをしながら句に心情をこめる練習をしたり、「大空をもし飛べたなら」といった場面を設定して想像力を使って短歌を詠んでみたり、ということをしていきます

そして逐一、「こういう句だとゆったりとした印象になるね」などの解説が挟まっていきます

 

実際には自分の短歌は添削されていないにもかかわらず、まるで自分の短歌を見たうえで語られているような解説はとても参考になります

 

また短歌にある程度嗜んでいる方は少し物足りないかと危惧しているかもしれませんが、そんな心配は無用です

第一章・第二章の導入編以降は本格的な解説が始まり、かつ章ごとに内容は独立しているので好きなところから読み進めてしまっても大丈夫です

それに解説も詳しいので、初心者でない方でも導入編を楽しめちゃいますし、新たな気付きを得ることもできるはずです

 

著者自身の作品を添削する過程が載っていて、作り方を追体験できる

 

日常のどんなところに気付きを得て、どんな表現を使おうかという思考の流れを追うことができます

やっぱり初心者にとって、短歌ってどう作るものなのかというのは気になるポイントだと思います

 

そのニーズにこたえるかのように、実際に著者が一首作ってみた場面が記されています

そこでは「本当にこの表現で良いのだろうか」と自己添削していく一部始終を垣間見れます

この表現はこんな意図で・・・などの解説も参考になります

 

こんなふうに作っているのか! と思うと創作意欲も自然とふつふつ湧いてきてしまいます

 

例題一首あたりの添削と解説が詳しく、短歌の技法が身に付きやすい

 

短歌を例にあげての技法の解説が詳しく書かれていて、多くの学びが得られた実感があります

 

例えばオノマトペについて学ぶところでは、どんなオノマトペが一番効果的か? というのを実際の短歌でオノマトペが書かれているところを穴埋めにして一緒に考えていきます

そのときに「全体のイメージを考えるとAやBやCというオノマトペが自然だけれど、ここではDというオノマトペが使われています。Dはどう効果的かというと・・・」というふうに解説が進んでいきます

 

このときにA、B、Cについての著者による解答例と、その解答例ができるプロセスがのっているところが嬉しいポイントです

なぜなら最初からDというオノマトペについて解説が続いていくと、なんとなく「自分の解答とは違ったなぁ」なんて気になったまま進んでしまうことが防げるからです

自分なりに考えたオノマトペがAに似ているぞ? とさえわかればDの表現のすばらしさはもちろん、自分に足りない視点はなんだったのかというのも知れるのです

 

このように一歩進んだところでの理解ができるような解説の仕組みになっていて、自然と学びが多くなっていきます

 

学生の歌も例に取り上げていて、新たな発想を得ることができる

 

小学生、中学生、高校生、大学生での受賞者の方々の短歌も例にあげて解説しているので、若い感性から新たな学びを得ることができます

 

若いからこその柔軟で繊細な発想や言葉遣いはもちろん、大人顔負けの短歌でもあってとても参考になります

また題材自体も誰もが通ってきた青春時代の経験・悩みだったりするので、忘れかけていた昔のことを思い出してしまったりします

「あの頃の自分だったらどう読むだろうか」「忘れかけていた思い出で一首書けそうだ」

といったふうに、自身の発想の引き出しを増やすきっかけにもなります

 

ほぼ黒文字の活字なので読みにくいと思う方もいるかも

 

章ごとに大文字・太文字、節ごとに太文字の見出しがついたシンプルな作りになっています

なのであまり活字慣れしていない方にとっては苦手意識をもってしまわれる方もいらっしゃるかと思われます

 

しかしそこまで抵抗を持つ必要はないと思っています

それは文章が口語体で書かれていて、とてもやさしい語り口だからです

 

著者の方がエスコートするかのようにどんどんと短歌の世界に引き込んでくれるので、すらすらと読み進めてしまっている自分に気付くはずです

本の向こう側にいる著者の方と会話するように読むのが好き、という方ならむしろおすすめです!

 

短歌を作れるようになるだけでなく短歌をもっと好きになれる本

 

・リズムに慣れるところから始めるので挫折することなく短歌が作れるようになる

・著者の方が実際に短歌を作った経験談がのっているので参考になる

・解説が詳しいので一歩進んだ理解ができる

・幅広い年代の短歌が例に取り上げられているので発想が広がる

・文章がやさしい口語体なのですらすら読み進められる

 

以上がまとめになります

 

ただ短歌をつくろう! と思い立ったからには、どこか勉強しなきゃ・・・みたいに考えてしまうこともあると思います

でもこの『短歌をつくろう』という本には、「まずは短歌を楽しもうよ、短歌ってこんなに面白いんだよ」という著者の方のメッセージがたくさん詰まっているように感じます

 

なにより本に収録されている短歌の解説から、純粋に短歌が楽しい、面白いという著者の方の気持ちがにじみでているところに惹かれてしまいます

「この短歌はこんなところがすごい!」という何かを批評するスタンスではないので、自然と読んでいるこちらも楽しくなってしまうほど余裕をもつことができます

 

短歌が好きになってしまう。だからこそ挫折もしないし、どんどん短歌を作れるようになれる。そんな本だと感じました

 

画像出典:https://www.amazon.co.jp/短歌をつくろう-岩波ジュニア新書-栗木-京子/dp/4005006698

 

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